電気式人工喉頭器はオトガイ部や頬部にジージーと鳴る振動板を押し当てて頸部食道粘膜へ振動を伝え、喉頭原音の代わりとし、口や舌の動きで音声が産生されます。発声の際に大切ことは、顎の動きに対して振動板がつねに直角に接触していることです。治療後の瘢痕や皮膚の厚みによって振動しやすい箇所が異なるので、その方のよく共鳴する箇所にピンポイントで押し当てられるよう訓練を行います。

当科では3種類の機器を使用し、患者様が使いやすい物を一緒に選んでいきます。写真に向かって左はボタンを押す必要がなく先の振動部を頸部に当てるだけで声が出ます。左から2番目は声に含まれるゆらぎの成分を反映したゆらぎモードなどが搭載されています。右側の2つは低周波数タイプとやや高めの周波数タイプと声質が異なります。
リハでは無意味音節から練習し、歌唱の訓練も行っています。歌唱訓練では構音の明瞭度だけでなく、適切なポーズ(息継ぎ)の練習にもなり有効です。カラオケ好きの患者様の演歌の熱唱では電気式人工喉頭でもコブシが利いており、新しい声の魅力を発見しています。